小さい頃から犬が好きで、好きで、大好きで、ずっと両親に犬を飼いたいとお願いしていました。しかし、私が生まれる前に何匹かの犬を飼った経験があり、別れが辛いからもう犬は飼わないと、お願いする度に言われていました。それでも、諦めずにずっとお願いしていると、中学二年生の時に、父の友達のお家で子犬が何匹か生まれたのです!一匹だけもらい先が決まらないとの事で、その犬をうちで飼う事になりました!私はもう嬉しくて、嬉しくて、たまりませんでしたが、元々父は大の犬好きでしたし、母はさほど飼う事に積極的ではなかったものの、いざ飼ってみると、みんなその犬を溺愛しました。
名前は勇太と言いました。私がつけました。勇太は雑種で、とても丈夫で、とても元気で、落ち着きの無い犬でしたが、愛嬌があって、玄関で飼っていたら、道行く人たちにもいつも可愛がられていました。勇太はとても勇敢な犬でもあり、裏庭から泥棒が侵入しようとしたのを、追い払ってくれた事もありました。立派な番犬ではあったのですが、雷を物凄く怖がり、雷の時だけは家の中に特別入れてあげていました。怖がっていた様子を今も可愛く思い出す事ができます。
近所の幼馴染のお家が小料理屋さんで、幼馴染のお母さんがいつも残り物を持ってくれて、かなりなグルメ犬でもありました。そんな勇太が亡くなったのは、12歳の時です。調子が悪そうだな・・・と思っていたのですが、獣医さんに連れていった時はすでに癌が転移していて、手遅れな状態でした。勇太は家の敷地内に駐車していた私の車の下にずっと潜ったまま出てこなくなり、どうして、私の車の下から出てこなくなったのかは分からないのですが、呼んでも出てこなくて、ご飯も食べなくなって、もう本当に家族みんな心配で心配で、しょっちゅう、車の下にいる勇太の様子を交代で見に行ってました。
そんな日々が二週間ほど続いたでしょうか。ある朝、勇太は車の下で冷たくなって亡くなっていました。けれども、穏やかに寝ているような様子でした。それから、我が家ではもう二度と犬は飼わないと決めました。勇太が最後の犬だと決めました。私は結婚して家を出ましたが、今も犬は飼っていませんし、今後も飼う事はありません。私の愛犬は一生、勇太だけだと、今も心に決めています。